友達の育ちの良さ。

僕の友達は身長152cm。

彼は
「サッカーでいえばポジションは、ボールだな」

などと苦笑いで自虐をかます。

でもそれは男同士の場だけ。

彼は先日の合コンで
女の子に

「俺はワルだったから。中学1年から
セブンスター2箱吸ってたからよ」

と苦笑いをしながら
自らの低身長を未成年時の喫煙のせいにしていた。

背伸びをするな

僕はまさにそう思った。

僕は彼と小学校から同じクラスで
彼が今まで一度もタバコを吸ったことが無いのを
よく知っていた。

エコ。

彼の吐く息からは
合コン用に噛んでいたミントガムの匂いしかしなかった。

そして、彼はワルでは無かった。

逆に、クラスのヤンキーたちからは
「ミニモニ」という愛称で親しまれていた。

加護ちゃんでもタバコ吸ってたのにな。

僕はそう心底で呟くと目を閉じた。

付き人。

小結な彼には僕という付き人が
彼の過去を知り過ぎていた。

ヤンキーでも喫煙者でもない彼は、
自身のコンプレックスを埋没させるかのように

一番背の高い、そしてヤンキーっぽい
女の子を気に入ったようで

「LINEを交換しようよ」

と話しかけていた。

「ボディを交換しようよ」

一瞬、僕はそう聞き間違えたが
やはりヤンキー女性は性格がキツかった。

「いいよ。じゃあQRコード読み取ってよ」

ヤンキー女性はそう言うと席を立って背筋を伸ばし、
更に手を伸ばして「はい」と自らの頭上にケータイをかざした。

カリン塔。

雲を突き抜け高く天空に
聳え立つそれは
友人にとって修行以外の何者でも無かった。

「レイアップシュートだ」

僕は心底で叫んだ。
ジャンプしてスマホを彼女の手元に置いて来い。

付き人の僕がアドバイス出来るのは
そこまでだった。

でも、彼は違った。

彼は普通に居酒屋の椅子をヤンキー女性の近くに寄せると
椅子に登って「カシャリ」と
彼女のQRコードを読み取った。

素晴らしい

僕は感嘆の吐息を漏らした。

それは彼が椅子というアイテムを使用したことにではない。

彼は椅子に登る時、
きちんとスニーカーを脱いで
尚且つ2足を揃えてから登ったのだ。

京美人。

彼はヤンキーではない自分の育ちの良さを
隠しきれて無かった。

テーブルに置かれたジョッキグラスは
氷を少し残しながら

「やれやれだぜ」

と表面に安堵の汗をかいていた。

外は冬の小雨。

雨を凌ぐには傘。

上手くバランスのとれたアイアイ傘の二人が見たいな。

僕はそう思うと

彼に気づかれないように
笑顔のまま

遠目から
小指で彼の身長を計った。

#エッセイ #恋愛

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ギャグ漫画を描いてます。
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