「がぶり」 友人は涙目になりながら ハンペンに噛み付いた。 味のしない、おでんのトッピングのハンペン。 ハンペンの灰色は 曇り空のような彼の心情を、さらりと映していた。 そう、 場所は居酒屋。 15分ほど前、隣席に女の子3人が座った。 友人はカッコつけて 「あの席に、ハンペンを」 と、あの席にシャンパンを、的なノリで 店員にオーダーした。 店員は「?」みたいな顔をしながら 「あちらのお客様からです」と 女性客に皿に乗せたハンペ