「おう、だれかクサ持ってねーか?」 と、ヤンキー3年生がひとりで クラスに乗り込んできた。 僕らは中学2年生。 「おう、2年坊!クサはねーんかよ!?」 ヤンキー3年生は 機関車トーマスのようだった。 クサとは大麻の隠語らしいが、 僕は当時 まだ勉強と部活しかした事のない 毛玉のような少年だったので 「ゲームソフトの事かな?」 とクサの意味が理解できなかった。 そこで、そーっと 隣にいた勝田君に聞いてみた。 「クサってなに?」
僕らは電車に乗っていた。 ガタン、ゴトン・・。 ふたつのトイレマークのように並んだ僕らは 座席前の場所に立っていた。 目の前の座席には イマドキ風なカップル。 女の子めっちゃ可愛い。 カップルの男が女の子に言った。 「カップ麺の3分てさー、なかなか待てないよね。 ギャハハハ」 「だよねーハハハ」 女の子も笑った。 僕は怒りに似た感情を覚えた。 なんだ、この会話。 どこがおもしろいんだ? なんでこんなヤツが可愛い女の子といるんだ!
友達の守河(かみかわ)君は無口だ。 コンビニで小包を送るときに 「送ってください」が言えなくて 「これ」と渡し、 店員さんに商品と勘違いされ バーコードを探されて、 自宅から持ってきたものを買わされそうになった男だ。 以前はこんなことも。 僕が当時一年くらい付き合ってた彼女に 「もう電話しないで」 と言われ、 その3日後くらいに地元の駅前で友達と遊んでたら、 その彼女が他の男と手を繋いで歩いてた。 僕が「ぎゃあああああああ」 と言い
僕の友達は身長152cm。 彼は 「サッカーでいえばポジションは、ボールだな」 などと苦笑いで自虐をかます。 でもそれは男同士の場だけ。 彼は先日の合コンで 女の子に 「俺はワルだったから。中学1年から セブンスター2箱吸ってたからよ」 と苦笑いをしながら 自らの低身長を未成年時の喫煙のせいにしていた。 背伸びをするな 僕はまさにそう思った。 僕は彼と小学校から同じクラスで 彼が今まで一度もタバコを吸ったことが無いのを よく知っ
「僕が間違うハズが無い。」 友人は箸のように言葉を転がした。 友人の好きな子がAVに出ていた。 この驚愕の事実は 彼の財布の紐を緩めた。 大人買い。 彼はその子の出演している アダルトDVDを全て購入した。 まさに大人買いだ。 女の子の名はモニコちゃん。 場末のキャバクラ嬢だ。 でも本当はモニコ嬢、 キャバクラ、ヘルス、AV女優、と 投打に優れていた。 ホップ、ステップ、ジャンプ。 モニコちゃんのスニーカーは貞操観念という壁を
僕の彼女は身長が150cmもなかった。 大学2年生の頃だと思う。 彼女の名前は夕菜。 本人は 「うちの両親が夕方、水に濡れた菜の花を見つけたらしいよ。 私を産んだ帰りに。 それで付けた名前だって。 菜の花のように長く育つように」 と言っていた。 「長く育つってなんだ?」 と僕は不思議に思ってたけど、 身長のことではないのは分かってた。 夕菜はよく、僕の一人暮らしの部屋に来ていた。 僕が、いつも部屋に忘れてく リズリサの袋を指差して、